第5号

  台北に赴任後、早くも5年を経過しようとしている。 赴任当初、以前の海外駐在先がいずれも英語圏で初めての中国語に 戸惑いながら、ウイズ人材派遣センターさんの門を叩いたのも昨日 の様な気がします。 ビジネスや交友関係を含め名刺交換も、日本式大きな名刺箱で5箱 を超え、交換させて頂いた方々のお顔を正直、全員正確に覚えてい るとは言いがたいまでに多くの方と出会いました。 その中でも特に印象に残った話を一つご披露したいと思います。 二年前から台湾の各地の大学からの講演依頼により各地で仕事の合間 をみて、講演活動をさせて頂いていますが、特に印象深い学生との巡 りあいが忘れられません。 去る5月のある土曜日、台北市内のT大学の謝恩会に呼んで頂きま した。会場のホテルに到着すると、卒業生全員が両脇に整列し全員 の拍手の中を日頃経験出来ない感激と共に通り抜け着席しました。 その後、会場の宴もたけなわ、ある学生がスピーチを開始し、余り の日本語の上手さと内容の素晴らしさに驚嘆していると、スピーチ 終了後、間もなく男子学生が小生の席に挨拶に来られた。 そこで“それだけお上手な日本語が出来るのであれば、卒業後は 日系企業に就職するのですか“と聞いてみました。 すると学生からは“卒業後は軍隊に入隊しなければならず、一生懸命 覚えた日本語ですが、たぶん使用する機会もないので忘れてしまいそ うで残念です。軍隊の無い国が羨ましいです“ と回答された。平和ボケが心配される日本、台湾にいてハット深く考 えさせられてしまいました。 今後の講演活動でも、このような経験をするのであろうか。様々な方々 との出会いの中でも特に印象深く、これも駐在生活の強烈な思い出の 1ページとなっています。

          以上

郵船通運股份有限公司

董事長 荒井 一

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